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オプション+前回講義の残り : 

オプション+前回講義の残り 2010.07.06 川北 英隆 2010年度前期 京大経済学部・証券投資論

通貨スワップ① : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 2 通貨スワップ① 特定された想定元本に対する、異なった通貨による「支払い金利」を交換する契約 交換するもの: 異通貨による金利部分のみ→クーポンスワップと呼ばれる 異通貨による金利部分に加え、異通貨による元本部分の交換を含む→通常の通貨スワップ 金利の決定は、基本的には金利スワップと同じ 違いは、通貨別に金利を取り決める点

通貨スワップ② : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 3 通貨スワップ② 米ドルでの資金調達→「米ドル固定金利」と「日本円固定金利」を交換する通貨スワップの例

通貨スワップ③ : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 4 通貨スワップ③ 前頁の表の説明 スワップで交換する米ドルキャッシュフローと、その現在価値を求める 米ドルベースの現在価値に現在の為替レートを掛けて円ベースの現在価値に換算する この事例の場合、元本の受け取りがあることと、ドルの利子率として市場利子率を用いていることから、現在価値の合計はゼロ スワップで交換する円ベースのキャッシュフローが上で求めた現在価値と等しくなるよう、円の利子率をシミュレーションで求める この事例の場合、円の利子率として市場利子率を用いればいい 現在価値は市場金利(長期金利)を割引金利として求めている(→フラットなイールドカーブを想定) 本来は各期間ごとのスポットレートを用いる スワップによる各CFの交換為替レートは、スワップ契約における円とドルのキャッシュフローから求めただけのものであり、意味がない

通貨スワップ④ : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 5 通貨スワップ④ 通貨スワップのリスク(金利リスク) 通貨スワップ(固定-固定)は、ドル固定金利債券投資と円固定金利債券投資を相互に交換することと等しい スワップ契約締結後、(為替のスポットレートが金利変動の影響を受けなかったとして) 米国の金利が上がれば:ドル固定金利を受け取る側の不利(ドル債投資の価値が低下) 日本の金利が上がれば:円固定金利を受け取る側の不利(円債投資の価値が低下) 通貨スワップのリスク(デフォルトリスク) スワップ契約締結後の金利変動によって発生している評価益が実現しなくなるリスクに限定 言い換えれば、契約の相手方がデフォルトした時点で、同じスワップ契約を再構築するのに必要なコスト分がリスクとなる

通貨スワップ⑤ : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 6 通貨スワップ⑤ 契約締結後、円金利が0.1%上昇した場合 円CFのPVが低下→円CFの受け取り側の不利

クーポンスワップ① : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 7 クーポンスワップ① クーポンスワップ

クーポンスワップ② : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 8 クーポンスワップ② 前頁の表の説明 スワップ契約におけるドルの支払金利を、想定元本と市場金利に基づいて計算する そのドル支払金利の現在価値を求め、(求めたものが現在価値であるから)現在の円/ドル為替レートを掛けて円ベースの現在価値に直す 一方、円ベースの想定元本と、適当に想定した表面金利(円ベース)に基づいて、スワップ契約における円の支払金利を求める その円支払金利の現在価値を、円の市場金利に基づいて求める 2.と4.の数値(絶対値)が等しくなるように表面金利(円ベース)をシミュレーションに基づいて決定する 決定した表面金利(円ベース)がスワップ契約における円の支払金利となる なお、交換されるドルと円の為替レートは事後的に計算したものであり、意味がない

通貨スワップの役割 : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 9 通貨スワップの役割 為替リスクの回避 海外での資金調達 海外での事業活動 海外証券への投資 そもそもは資金調達が容易もしくは安価な市場で資金を調達 これが事業や投資のキャッシュフローとマッチングしていない可能性 このミスマッチを軽減する手段としてスワップを利用

為替予約 : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 10 為替予約 為替予約について、通貨スワップ同じ前提条件に基づいて計算した結果は? 表はドル資金調達と返済のCFに対する予約を想定 →現在価値の合計はゼロになる

為替予約とスワップの選択 : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 11 為替予約とスワップの選択 為替予約とスワップの選択 契約当初の経済価値(現在価値)は同じ キャッシュフローが異なる デュレーションが異なる→リスクが異なる 資金調達の場合 事業から発生するキャッシュフローのタイミング、大きさを見て為替予約かスワップかを選択 会計的要素、税務的要素も考慮する必要がある 以上は、キャッシュフローの変換に共通する考慮点

その他のスワップ : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 12 その他のスワップ 固定金利と変動金利の通貨スワップ: 「ドル固定→円変動」=「ドル固定→円固定」+「円固定→円変動」 「ドル変動→円固定」=「ドル変動→ドル固定」+「ドル固定→円固定」 「ドル変動→円変動」:ドルと円のスポットレートに基づいてキャッシュフローの額を求める スポットレートが市場レートに基づいていれば、固定金利ベースの通貨スワップと同様、現在価値の総計はゼロになる

本日の目次 : 

2010.07.06 13 本日の目次 オプション オプションの基本 二項モデル ブラックショールズ式 Kawakita, Hidetaka

オプション取引 : 

2010.07.06 14 オプション取引 オプション:(オプションの買い手にとっての)選択権=権利 義務ではない オプションの売り手(writer)にとってみれば、オプションの買い手の権利行使(もしくは権利の放棄)に対処する契約上の義務がある (通常の)オプション契約の内容 ①オプション契約の対象商品(対象となる事象を含めて対象商品もしくは原資産と呼ぶ) ②オプションを行使できる期間もしくは時点 ③オプションを行使する価格(もしくは行使できる事象の発生等の条件) ④以上の①から③を特定し、その条件に基づいて、対象商品もしくはその特定商品の代償金を得ることのできる権利の売買がオプション オプションのプレミアム オプションの売り手は買い手から対価としてプレミアムを徴収する Kawakita, Hidetaka

金融商品のオプション取引 : 

2010.07.06 15 金融商品のオプション取引 ① オプションの対象=原資産 ② オプションの満期日、行使期間  ヨーロピアンタイプのオプションの場合、満期日=行使日 アメリカンタイプのオプションの場合、満期日まで行使が可能 ③ オプションを行使する価格=行使価格 ④ オプションの権利: 「金融商品を買う=コール」 「金融商品を売る=プット」 Kawakita, Hidetaka

オプション:満期時の損益 : 

2010.07.06 16 オプション:満期時の損益 Kawakita, Hidetaka

オプションの活用方法① : 

2010.07.06 17 オプションの活用方法① ヘッジ オプションプレミアムの獲得 Kawakita, Hidetaka

オプションの活用方法② : 

2010.07.06 18 オプションの活用方法② シンセティク 他の取引との裁定のため、同様の効果をもたらす取引を合成する方法 Kawakita, Hidetaka

株式のコールオプションの価値(イメージ) : 

2010.07.06 19 株式のコールオプションの価値(イメージ) 株価:(行使価格が一定として)株価上昇→オプションによる利益獲得の可能性増大→プレミアム上昇 行使価格: (株価が一定として)行使価格上昇→オプションによる利益獲得の可能性低下→プレミアム低下 株価と行使価格の相対的な関係がポイント リスクフリー金利:金利上昇→オプション投資の代替手段としての現物株式取得コストの上昇→プレミアム上昇 原資産の価格変動性の増大(ボラティリティ、現資産価格の標準偏差σで表現):株価上昇の可能性増大→オプションによる利益獲得の可能性増大→プレミアム上昇 満期までの期間:満期までの期間が長い→株価上昇の可能性増大→オプションによる利益獲得の可能性増大→プレミアム上昇 Kawakita, Hidetaka

オプションの価値① : 

2010.07.06 20 オプションの価値① 現在価値を求める割引率、投資収益率としてリスクフリー金利を用いる リスク中立的な投資家を想定する リスクとしては原資産の価格変動を想定→これがリスクプレミアムに相当する 価格変動とキャッシュフローの可能性をきちんと測定できれば、リスクプレミアムを想定する必要はない リスクプレミアム:損失の可能性を埋め合わせるため、投資家が要求→リスクプレミアム:事前の(投資をする際の)要求 投資家は、結果として、リスクフリー金利と同等の収益を平均的に得られれば納得→リスクプレミアムとは事後的な要求ではない Kawakita, Hidetaka

オプションの価値② : 

2010.07.06 21 オプションの価値② オプションの期待投資収益率:リスクフリー金利=r 1期間(とりあえず1年間)を考え 本来的には「ごく短い期間」→連続複利 原資産の価格上昇の可能性をp、価格下落の可能性を1-p、価格上昇率をu、価格下落率をdとすれば、次の関係が成立する たとえば、以下のように想定すれば、上式の関係が成立している。 無リスク金利=0.025 株価上昇率=0.25 株価下落率=-0.2 株価上昇の確率=0.5 Kawakita, Hidetaka

オプションの価値③:コール : 

2010.07.06 22 オプションの価値③:コール 以上の想定に基づき、二項モデル(binomial method)でオプションの価格を求める 行使価格=原資産価格(株価)=85 とすれば、コールオプションの損益は次のようになる 1年間の期間は不自然→本当はもっと細かい期間を考える Kawakita, Hidetaka

オプションの価値④ : 

2010.07.06 23 オプションの価値④ このコールオプションの損益を現物株式の購入によって複製する 株価が上がった場合と下がった場合の差額が21.25となるような株数を求める →21.25/(106.25-68)=0.5556 (オプションのデルタと呼ぶ。) 0.5556株の株式を購入、1年後に下落した場合の価値を求めると、 68×0.5556=37.7778 1年後に(最悪の状況での価値である)37.7778を返済するように現時点で借金する→オプションが複製される →1年後に株価が下落した場合、株式を売却、借金を返済すると、手元資金は0  1年後に株価が上昇した場合、同様に、手元に残る資金は21.25 一方、1年後の借金37.7778は、現時点では36.8564である(借金の現在価値) Kawakita, Hidetaka

オプションの価値⑤ : 

2010.07.06 24 オプションの価値⑤ 以上をまとめると: 上の表で、現時点での「株式-借入」の価値を求める:  85×0.5556-36.8564=10.3659 これが、現時点で保有しているコールオプションの価値 なぜなら、この「株式と借入」で作られたポジションは、コールオプションと同じ損益をもたらすから Kawakita, Hidetaka

オプションの価値⑥:プット : 

2010.07.06 25 オプションの価値⑥:プット プットの複製 プットの損益 (上の)プットの損益の複製→下の図 この複製プットの現時点での価値 46.07046-0.4444×85=8.2926 → 8.2926の価値 Kawakita, Hidetaka

オプションの価値・2項モデル : 

オプションの価値・2項モデル オプション価値の別の計算方法 コールの場合 85円の株式は、1年後に、50%ずつの確率で106.25か68に変化する コールオプションの価値=0.5×(106.25-85)の現在価値(割引金利0.025)→10.3659 プットの場合 プットオプションの価値= 0.5×(85-68)の現在価値(割引金利0.025)→8.2926 ⇒裁定関係から得られた結果と同じ値に 以上が、2項モデルでのオプション価値の計算方法 2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 26

参考:2項モデルの計算概念図 : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 27 参考:2項モデルの計算概念図 1年を5つの期間に分割した場合の価格変動予想の経路図 前提条件、計算の仕方は次のページ以降に

参考:2項モデルの計算・公式 : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 28 参考:2項モデルの計算・公式 前頁の図は上のupとdownの数値を用いて計算した ⇐リスク中立、   連続複利でのuとdを示す   Tは短い時間とする

参考:2項モデルでのオプション価値 : 

2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 29 参考:2項モデルでのオプション価値 価格変動の経路図とコールオプションの価値の計算 最終期の価格からオプションを行使すべきかどうかを判断し、価値を求める。 その価値に基づいて1期前の価値を求める→この計算を繰り返して最後に現時点での価値を求める 1期前の価値:「upした場合の翌期の価値×upの可能性+ downした場合の翌期の価値×downの可能性」の現在価値 権利行使価格=100、ヨーロピアンとして価値を求めている 価値を計算する順序

参考:2項モデルの計算・例示 : 

参考:2項モデルの計算・例示 たとえば、下図の〇で囲んだ部分 2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 30

オプションの価値(コール) : 

2010.07.06 31 オプションの価値(コール) ブラック・ショールズ・モデル(Black-Scholes model) ヨーロピアンタイプのコールオプションの価値C 上の式の第1項がバイノミアル・モデルでの株価の部分、第2項が借入の部分に相当する。 正規分布の累積密度関数:正規分布に従う変数の値が「平均+d×σ」より小さい場合の確率のこと。 LNは自然対数(Excelで計算する場合の関数形も同じ)。 Kawakita, Hidetaka

標準正規分布のグラフ : 

標準正規分布のグラフ 標準正規分布 平均μ=0、分散σ=1の正規分布 2010.07.06 Kawakita, Hidetaka 32

オプションの価値(プット) : 

2010.07.06 33 オプションの価値(プット) プットオプション(ヨーロピアンタイプ)の価値 (株式の場合の)コールとプットの関係: プットの価値+株価=コールの価値+行使価格の現在価値 配当を考慮する場合: プットの価値+株価-配当の現在価値=コールの価値+行使価格の現在価値 Kawakita, Hidetaka

オプション価値の数値計算 : 

2010.07.06 34 オプション価値の数値計算 分散:計測期間の長さに比例 →年次の分散=月次の分散×12 標準偏差:期間の長さの平方根に比例 ExcelではNORMSDIST という関数を用いる Kawakita, Hidetaka

オプション価値の数値計算:連続複利 : 

2010.07.06 35 オプション価値の数値計算:連続複利 eの指数計算には関数EXPを用いる LN(1.050625)=0.049385→連続複利ベースの表面金利に直る Kawakita, Hidetaka

参考文献 : 

参考文献 川北英隆『テキスト 株式・債券投資 第2版』(中央経済社、2010) Hull, John. C. “Options, Futures, and Derivatives 7th Edition” Pearson Education, Inc., 2008 ハル『フィナンシャルエンジニアリング』(金融財政事情研究会、2009) 36 36 2010.07.06 Kawakita, Hidetaka

期末試験について(7/20実施) : 

2010.07.06 37 期末試験について(7/20実施) 日時、場所 7月20日(火)14.45~16.05、法経済7番教室 範囲 すべての講義内容 ノートのダウンロード http://www.hidetaka-kawakita.com/outline/index.html 計算事例、小テストを復習しておくこと 電卓を持参すること 計算問題が出る(記述問題もいくつか予定。) 面倒な計算になる場合は数表を配布 累乗、3乗根等 持ち込み 配布ノート、テキスト可 パソコン、関数電卓不可、携帯電話も当然不可 筆記用具:鉛筆、シャープペンも可 Kawakita, Hidetaka